赤い花のしにがみ|プロローグ
腐ち木村
貧しい家庭が病にかかった者や養えぬ者を置いていく地
元は病にかかった者が静養するための場所であったが
時と共に次第にその意義が変化していった
そこでは 死神により慈悲深い死がもたらされるという
打ち捨てられた者達は 静かに寄り添い最期の時を待っている
しにがみ
生命を終えようとする者が それ以上苦しまずに済むよう遣わされた存在
ひとたびその手が触れると 命あるものは赤い花に変わるという
長いマスクは彼女が慈しんだ村人達の名残である
その着衣を染める色は 召された者の血とも死神の涙とも伝えられる